午後の部の第12問(不動産登記法)の解説です!
テーマは、登記の形式である「主登記(しゅとうき)」と「付記登記(ふきとうき)」の区別。
これは午前・午後の択一式で点数を稼ぐための基本論点であると同時に、午後の記述式で登記番号(順位番号)を正しく書き分けるために1ミリも妥協できない超重要知識です。
主登記と付記登記を見分ける大原則(マインド)はただ一つ。
- 独立した新しい順位を与えるべきか?(主登記:1、2、3…)
- すでにある既存の登記にくっつけて、その順位を引き継がせるべきか?(付記登記:1の付記1号、2の付記1号…)
この視点を持って、それぞれの選択肢がどちらに転ぶのかをスッキリ整理していきましょう!
問題文
次のアからオまでの登記のうち、主登記によってするものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 根抵当権の共有者間における根抵当権の優先の定めの登記
イ 賃借権が敷地利用権である場合にする敷地権である旨の登記
ウ 民法第398条の8第1項の合意の登記
エ 仮登記がされた所有権移転請求権の移転の登記
オ 抵当権の順位の変更の登記
【選択肢】
1:ア
イ
2:ア
ウ
3:イ
オ
4:ウ
エ
5:エ
オ
ア:根抵当権の「優先の定め」の登記
【問題文】 ア 根抵当権の共有者間における根抵当権の優先の定めの登記
【結論:付記登記】
解説
1つの根抵当権をAさんとBさんで共有しているケースです。
通常なら、もし会社が倒産して配当金が出たら、二人は持分に応じて平等に分け合います。
しかし、二人の間で「もしもの時は、Aさんが先に全額回収して、残りをBさんがもらうことにしよう」と約束することができ、これを「優先の定め」と呼びます。
この登記は、すでに存在する「その根抵当権の内部の割り振り」を変更するだけの手続きです。
新しく別の順位(例えば第2順位など)をもらう必要は全くなく、既存の根抵当権にくっつける必要があるため、付記登記によって行われます。
📌 暗記のポイント: ひとつの根抵当権の中での「身内の順番決め(優先の定め)」だから、新しく独立した番号は不要。既存の登記にくっつける「付記登記」!
イ:敷地権である旨の登記
【問題文】
イ 賃借権が敷地利用権である場合にする敷地権である旨の登記
【結論:主登記】
解説
マンション(区分建物)の登記で出てくる、非常に重要度の高い論点です。
マンションの敷地を利用する権利(敷地利用権)が「所有権」ではなく「賃借権」などの場合、土地の登記簿の「乙区」に、登記官が職権で「この賃借権はマンションの敷地権になったよ!」という敷地権である旨の登記を入れます。
これは、土地の権利そのものを強烈に縛る独立した新しいお知らせの登記です。既存のどの登記の枠内にも収まらないため、主登記によって堂々と独立した順位番号で記録されます(不動産登記規則119条参照)。
📌 暗記のポイント: 「敷地権である旨の登記」は、敷地利用権が所有権(甲区)だろうが賃借権(乙区)だろうが、常に独立した「主登記」で行う!
ウ:根抵当権の「相続の合意」の登記
【問題文】
ウ 民法第398条の8第1項の合意の登記
【結論:付記登記】
解説
根抵当権の元本が確定する前に、根抵当権者が亡くなってしまった(相続が開始した)ときの超重要手続きです。
根抵当権者が死んだあと、後継ぎ(相続人)と設定者が「これからもこの根抵当権を使って取引を続けよう!」と合意したときに行うのが、この「相続の合意の登記」です。
これは、既存の根抵当権の「中身(担保する債権の範囲など)」を修正する手続きにほかなりません。
つまり、一般的な「根抵当権の変更登記」と全く同じ性質を持つため、既存の根抵当権の順位をそのまま引き継ぐ付記登記で行われます。
📌 暗記のポイント: 相続の合意の登記は、根抵当権のマイナーチェンジ(変更登記の一種)。元からある根抵当権の順位を守るために「付記登記」にする!
エ:仮登記された権利の「移転」の登記
【問題文】
エ 仮登記がされた所有権移転請求権の移転の登記
【結論:付記登記】
解説
記述式の問題でも受験生を混乱させるひっかけ論点です。
「所有権の移転」の登記は、権利の親玉が完全に別人に変わる大事件なので、原則として「主登記」でされます。
しかし、今回は「仮登記された権利」をさらに他人に移転するというケースです。
この移転登記は、もともと入っている「〇番仮登記」という枠組みの席をそのまま譲り受ける手続きです。
元の仮登記の順位(キープしている席)をそのまま引き継がなければ意味がないため、その仮登記にくっつける形で付記登記(〇番付記〇号)として実行されます。
📌 暗記のポイント: 仮登記の移転は、元の仮登記の席(順位)をそのまま引き継ぐから「付記登記」! ※なお、これは実体的な権利の移動なので、仮登記ではなく「本登記(付記登記による本登記)」でされるという点も合わせて覚えておくと強力です。
オ:抵当権の「順位の変更」の登記
【問題文】
オ 抵当権の順位の変更の登記
【結論:主登記】
解説
これも記述式で順位番号を書くときに絶対に間違えてはいけない超基本ルールです。
例えば、1番抵当権のAさんと、2番抵当権のBさんが、お互いの順位をカチャッと入れ替えるのが「順位の変更の登記」です。
この登記は、既存のAさんの登記やBさんの登記のどちらか一方に偏ってくっつけるような性質のものではありません。
登記簿全体に対して「順番を入れ替えたよ!」と広く示すための、独立した新しい処分です。
そのため、独立した新しい順位番号(例えば、すでに3番まで登記があれば「4番」)を使って、主登記でドンと記録されます。
📌 暗記のポイント:
- 順位の「変更」 ⇒ 独立した大がかりな手続きなので
「主登記」
- 順位の「譲渡・放棄」 ⇒ 特定の人の間で枠を譲り合うだけなので
「付記登記」
まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「主登記によってするもの」の組合せを求めています。
主登記でされる記述は イ と オ なので、正解は 3 となります。
現場での理想的なスピード解決ステップは以下の通りです。
- 記述式でも頻出の超基本知識 オ(順位変更は独立した主登記 ⇒ マル) を見つける。 ⇒ この時点で、オを含む ③ か ⑤ に絞られます。
- あとは相方の イ(敷地権である旨の登記は主登記 ⇒ マル)か
エ(仮登記の移転は順位を引き継ぐから付記登記 ⇒ バツ)をジャッジする。
これで、受験生が「あれ、どっちだっけ…?」と一瞬迷いやすいア(優先の定め)やウ(相続の合意)を完全に無視して、最速で 3 をもぎ取ることができます!
主登記・付記登記の問題は、暗記だけに頼ると本試験の緊張感でド忘れしがちですが、「元の順位をキープしたままくっつけたいのか?(付記)」「独立した新しい枠を作りたいのか?(主)」というイメージを持っておくと、どんな応用問題がきても現場で正解を導き出せるようになりますよ!

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