【令和6年度 司法書士試験】午前の部 第5問:民法「条件」の解説

2026年5月9日土曜日

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問題

条件に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。 ※商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。


ア  停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合には、その法律行為は、無条件となる。

 

イ  単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる。

 

ウ  条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

 

エ  認知には、条件を付すことができる。

 

オ  不法な行為をしないことを条件とする法律行為は、無条件となる。

 



ア  停止条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合には、その法律行為は、無条件となる。

 

 

【結論:誤り】

 

停止条件とは、「条件がクリアされたら、契約の効力がスタートする」という約束です。

 もし、その条件が「絶対に実現しない」と最初から分かっている場合、その契約が効力を生じる日は永遠にやってきません。

そのため、無条件(最初から有効)になるのではなく、その法律行為自体が無効となります。

 

 

【参照条文:民法第131条(既成条件)】

(既成条件)

131

1.      条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。

2.      条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。

3.      前二項に規定する場合において、当事者が、条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、128及び129の規定を準用する。

 

 

イ  単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる。

 

 

イ:純粋随意条件

問題文: 単に債務者の意思のみに係る停止条件を付した法律行為は、無効となる。

【結論:正しい】

「私が、気が向いたら払うよ」というように、支払う側(債務者)の気分一つで決まる条件を「純粋随意条件」と呼びます。

これでは契約としての拘束力がなく、相手方にとってあまりに不安定なため、法律上無効とされています。

 

【参照条文:民法第134条(随意条件)】

 

停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。

 

 

 

ウ  条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

 

 

【結論:正しい】

条件が達成されることでおトクになる人が、ズル(不正)をして無理やり条件をクリアさせた場合、法律はその結果を認めません。相手方は「条件は達成されていない」と扱うことができます。

 

例えば…… 「火災が起きたら保険金を支払う」という契約で、加入者がわざと放火して条件を達成させた場合。

 

  • 保険会社は「条件が成就しなかったもの」とみなして、支払いを拒否できます。

 

【参照条文:民法第130条(条件の成就の妨げ等)】

130

 

  1. 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

 

  1. 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

 

 

 

エ  認知には、条件を付すことができる。

 

【結論:誤り】

 

「認知」は、自分の子であることを法律上認める「身分行為」です。 身分関係は、一刻も早く、かつ明確に確定させる必要があります。「もし大学に受かったら認知する」といった条件をつけて、子供の立場を不安定にすることは許されません。

 

【参照条文:民法第781条(認知の方式)】

 

781

  1. 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。

 

  1. 認知は、遺言によっても、することができる。

 

 

オ  不法な行為をしないことを条件とする法律行為は、無条件となる。

 

 

【結論:誤り】

 

「犯罪をしないこと」を条件に金銭を授受するような契約は、たとえ条件の内容が「善行(犯罪をしない)」であっても、それを条件にすること自体が反社会的(公序良俗違反)とみなされます。

 

したがって、無条件になるのではなく、契約全体が無効になります。

 

【参照条文:民法第132条(不法条件)】

 

132

 

不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。

 

 

まとめ

 

本問の正解は 2(イ・ウが正しい) です。

 

条件に関する問題では、「無効」になるのか「無条件」になるのかの入れ替え問題が頻出です。

 

以下の表のように整理して覚えておくと、試験会場で迷わずに済みますよ!

 

 

条件の種類

停止条件の場合

解除条件の場合

既成条件(既に達成)

無条件(有効)

無効

不能条件(達成不可)

無効

無条件(有効)

不法条件(犯罪など)

無効

無効

 

 

独学での学習は大変かと思いますが、一つひとつの条文を丁寧に確認することが合格への近道です。頑張りましょう!

 


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