【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第34問:商業登記法「新設分割の登記」の完全解説

2026年8月24日月曜日

令和6年度【商業登記法】

t f B! P L

【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第34问:商業登記法「新設分割の登記」の完全解説

午後の部の第34問(商業登記法)の解説です!

今回のテーマは「新設分割の登記」に関する対話問題です。

組織再編登記の一括申請・添付書面(重畳的債務引受けと債権者保護手続・議事録の要否)、登録免許税の計算、そして令和8年2月施行の新制度である「指定登記日の特例(行政機関の休日における設立登記)」など、実務・試験の両面で重要となる論点が網羅されています。

本問は「正しいものの組合せ」を問う問題です。各肢の○×判定を確実に行い、正解を選び出しましょう!

それでは、各肢を詳しく解説していきます。

■ 問題文

次の対話は、新設分割の登記に関する司法書士と補助者との対話である。司法書士の質問に対する次のアからオまでの補助者の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとする。

【対話】

司法書士: 指定登記日の直前の開庁日に、国民の祝日である日を指定登記日とする特例の求めをして、新設分割設立株式会社の設立の登記と新設分割株式会社の変更の登記を同時に申請する場合、その祝日を新設分割株式会社の変更の年月日とすることができますか。

補助者:ア いいえ。国民の祝日である日を新設分割株式会社の変更の年月日とすることはできません。

司法書士: 新設分割株式会社の本店所在地を管轄する登記所がA法務局、新設分割設立株式会社の本店所在地を管轄する登記所がB法務局の場合には、新設分割による新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書と新設分割株式会社の変更の登記の申請書は、どの法務局に提出しますか。

補助者:イ B法務局に対し、同時に提出します。

司法書士: 新設分割計画において、会社法第763条第1項第12号に掲げる事項の定めがなく、かつ、新設分割株式会社が新設分割設立株式会社に承継させる債務の全てにつき新設分割株式会社が重畳的債務引受けをする旨の定めがある場合には、新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要がありますか。

補助者:ウ この場合、当該登記の申請書に債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はありません。

司法書士: 新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書に、新設分割計画が承認されたことを証する書面として株主総会の議事録を添付する必要がないのは、どのような場合ですか。

補助者:エ いわゆる簡易分割又は略式分割の場合には、当該登記の申請書に株主総会の議事録を添付する必要はありません。

司法書士: 最後に、新設分割設立株式会社の資本金の額が1000万円である場合には、新設分割による新設分割設立株式会社の設立の登記をする場合の登録免許税の額は、いくらですか。

補助者:オ 15万円です。

【選択肢】

1:ア イ
2:ア エ
3:イ ウ
4:ウ オ
5:エ オ

■ ア:指定登記日の特例と変更の年月日

【司法書士の問い】

指定登記日の直前の開庁日に、国民の祝日である日を指定登記日とする特例の求めをして、新設分割設立株式会社の設立の登記と新設分割株式会社の変更の登記を同時に申請する場合、その祝日を新設分割株式会社の変更の年月日とすることができますか。

【補助者の解答】

ア:いいえ。国民の祝日である日を新設分割株式会社の変更の年月日とすることはできません。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

令和8年(2026年)2月2日施行の商業登記規則改正(第35条の4)により、一定の要件を満たすことで、土日や国民の祝日などの行政機関の休日を設立の登記の日(会社成立の日)として指定できるようになりました。

新設分割では、新設分割設立会社の成立と同時に会社分割の効力が生じます。特例の求めをして国民の祝日を指定登記日とした場合、新設分割設立株式会社の成立の日(設立登記の日)はその指定登記日(祝日)となり、一括して同時に申請される新設分割株式会社の変更登記についても、当該祝日が変更の年月日として記録されます。

変更の年月日とすることはできないとする補助者の解答は誤りです。

📌 暗記のポイント: 休日設立の指定登記日特例を使うと、その祝日・休日が会社の成立日&分割会社の変更年月日になる!

■ イ:管轄違いにおける申請の提出先

【司法書士の問い】

新設分割株式会社の本店所在地を管轄する登記所がA法務局、新設分割設立株式会社の本店所在地を管轄する登記所がB法務局の場合には、新設分割による新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書と新設分割株式会社の変更の登記の申請書は、どの法務局に提出しますか。

【補助者の解答】

イ:B法務局に対し、同時に提出します。

【結論:正しい(マル)】

【解説】

新設分割において、分割会社(新設分割株式会社)と新設会社(新設分割設立株式会社)の本店所在地を管轄する登記所が異なる場合(本問ではA法務局とB法務局)、両会社の登記申請は新設分割設立株式会社の本店所在地を管轄する登記所(B法務局)に対し、一括して同時に提出しなければなりません(商業登記法85条、89条)。

したがって、B法務局に対し同時に提出するとする補助者の解答は正しいです。

📌 暗記のポイント: 新設型の組織再編の一括申請は、すべて「新設会社の本店管轄」に提出する!

■ ウ:重畳的債務引受けと債権者保護手続書面の要否

【司法書士の問い】

新設分割計画において、会社法第763条第1項第12号に掲げる事項の定めがなく、かつ、新設分割株式会社が新設分割設立株式会社に承継させる債務の全てにつき新設分割株式会社が重畳的債務引受けをする旨の定めがある場合には、新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要がありますか。

第763条【株式会社を設立する新設分割計画】

一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割により設立する会社(以下この編において「新設分割設立会社」という。)が株式会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。

十二 新設分割株式会社が新設分割設立株式会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨

 イ 第171条第1項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が新設分割設立株式会社の株式(これに準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)・・・全部取得条項付種類株式

 ロ 剰余金の配当(配当財産が新設分割設立株式会社の株式のみであるものに限る。)


【補助者の解答】

ウ:この場合、当該登記の申請書に債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はありません。

【結論:正しい(マル)】

【解説】

新設分割において、新設分割株式会社が承継させる債務のすべてにつき重畳的(併存的)債務引受けをする旨の定めがある場合、元の債務者である分割会社も引き続き全額の弁済義務を負うため、債権者を害するおそれがありません。

このように異議を述べることができる債権者が存在しないケース(会社法789条1項・810条1項等の例外)にあたるときは、登記申請書に債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付する必要はありません

したがって、添付する必要はないとする補助者の解答は正しいです。

📌 暗記のポイント: 「重畳的債務引受け」=元の会社も責任を負い続けるので、債権者を害さない⇒債権者保護手続は不要!

■ エ:株主総会議事録の添付が不要となる場合(簡易分割・略式分割)

【司法書士の問い】

新設分割設立株式会社の設立の登記の申請書に、新設分割計画が承認されたことを証する書面として株主総会の議事録を添付する必要がないのは、どのような場合ですか。

【補助者の解答】

エ:いわゆる簡易分割又は略式分割の場合には、当該登記の申請書に株主総会の議事録を添付する必要はありません。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

新設分割において、株主総会の承認決議を要しないのは「簡易分割」(会社法805条)の場合です。この場合、取締役の決定(または取締役会決議)を証する書面等を添付するため株主総会議事録は不要です。

一方、「略式分割」(特別支配会社との取引において株主総会決議を省略する制度)は、相手方がすでに存在する「吸収分割」等で認められる制度であり、登記前には相手方会社が存在しない新設型の組織再編(新設分割・新設合併・株式移転)には存在しません

「略式分割の場合には〜」とする補助者の解答は誤りです。

📌 最重要暗記: 新設型の組織再編(新設分割・新設合併・株式移転)に「略式」は存在しない!(親会社・相手方がまだ存在しないため)

■ オ:新設分割設立株式会社の設立登記における登録免許税額

【司法書士の問い】

最後に、新設分割設立株式会社の資本金の額が1000万円である場合には、新設分割による新設分割設立株式会社の設立の登記をする場合の登録免許税の額は、いくらですか。

【補助者の解答】

オ:15万円です。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

新設分割による設立登記の登録免許税の額は、原則として資本金の額の1000分の7(0.7%)です(登録免許税法別表第一・第24号(1)ヘ)。(※通常の設立登記のような「最低15万円」という規定はありません)

本問では資本金の額が1,000万円であるため、次のように計算します。

1,000万円 × 7 / 1,000 = 70,000円(7万円)

したがって、登録免許税額は7万円となり、15万円とする補助者の解答は誤りです。

📌 暗記のポイント: 新設分割の設立登記の税率は 7/1,000!通常設立の「最低15万円」ルールと混同しないように注意!

■ まとめ

🏁 正解の組み合わせ

本問は「正しいものの組合せ」を求めています。

・ア:誤り(指定登記日の特例により祝日を変更の年月日とすることができる)
・イ:正しい(新設会社の本店管轄登記所に一括提出する)
・ウ:正しい(重畳的債務引受けにより異議を述べ得る債権者がいない場合は債権者保護手続書面不要)
・エ:誤り(新設分割に「略式分割」は存在しない)
・オ:誤り(税率は1,000分の7であり、7万円となる)

正しい記述は なので、正解は 3 となります。

💡 本問のスピード解法テクニック

  1. 絶対的超重要知識である イ(管轄違いの一括申請は「新設会社の本店管轄」⇒正しい) を見抜きます。 ⇒ イを含む 1(アイ) または 3(イウ) に絞られます。
  2. 次に を比較します。
  3. ウ(重畳的債務引受け⇒債権者保護手続書面不要⇒正しい) を判断すれば、瞬時に 3(イ ウ) を自信を持って選べます!


### 💡 司法書士試験の過去問を解いていて、こんな悩みはありませんか?


* 「解説を読めば理解できるけど、知識が定着せず本番で思い出せない…」

* 「分厚いテキストと過去問集を持ち歩くのが重くて、隙間時間が活かせていない」

* 「仕事や家事と両立しながら、最短ルートで合格レベルに達したい」


私も最初は膨大な暗記量に挫折しかけましたが、**「スキマ時間×スマホ学習」**に切り替えたことで合格できました。


忙しい社会人でも無理なく続けられる、私が実践した**「スタディングを活用した司法書士試験の効率学習法」**を以下の記事で詳しく公開しています!

👉【実録】働きながら司法書士試験に合格!独学の壁を破った「スタディング」活用・効率学習法はこちら




QooQ