【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第33問:商業登記法「持分会社の登記」の完全解説
午後の部の第33問(商業登記法)の解説です!
今回のテーマは「持分会社の登記」に関する論点です。
持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)における業務決定権限(過半数の計算基準)、社員の退社手続、法人社員の職務執行者の選任資格、そして持分会社特有の登記事項(合同会社の業務執行社員の登記)など、受験生がよく混乱しやすい論点が網羅されています。
本問は「誤っているものの組合せ」を問う問題です。各肢の○×判定を確実に行い、正解を選び出しましょう!
それでは、各肢を詳しく解説していきます。
■ 問題文
持分会社の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア
業務執行社員が2人以上ある場合には、合名会社における支店の設置の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない。
イ
合名会社においては、退社する社員の退社届及び退社する社員以外の社員全員の同意書を添付して、総社員の同意による社員の退社による変更の登記を申請することができる。
ウ
業務執行社員が2人以上ある場合には、合資会社における支配人の選任の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない。
エ
合同会社の代表社員が株式会社となる場合には、当該代表社員の職務執行者を当該株式会社において選任された当該株式会社の役員でない者とする設立の登記を申請することはできない。
オ
合同会社において、業務執行社員が業務を執行しないこととなった場合には、業務執行権の喪失による変更の登記を申請しなければならない。
【選択肢】
1:ア ウ
2:ア オ
3:イ エ
4:イ オ
5:ウ エ
■ ア:支店設置決定の決定機関と添付書面(過半数の基準)
【問題文】
ア:業務執行社員が2人以上ある場合には、合名会社における支店の設置の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
持分会社において、業務執行社員を定めている場合に「支店の設置」のような通常の業務執行決定を行うときは、原則として**「業務執行社員の過半数」**で決定します(会社法590条2項・3項)。
したがって、支店設置の登記申請書には「業務執行社員の過半数の一致を証する書面」を添付しなければなりません(商業登記法109条・規則97条)。
本記述は正しいです。
■ イ:総社員の同意による社員の退社と添付書面
【問題文】
イ:合名会社においては、退社する社員の退社届及び退社する社員以外の社員全員の同意書を添付して、総社員の同意による社員の退社による変更の登記を申請することができる。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
持分会社の社員は、定款の変更(他の社員全員の同意)により退社することができます(会社法606条・609条等、任意退社)。また、総社員の同意による定款変更・合意退社が可能です。
この「総社員の同意による社員の退社」の登記申請手続きでは、「退社する社員の退社届(退社の意思表示)」と「退社する社員以外の社員全員の同意書(定款変更の同意)」を添付して申請することができます(実務上の取扱い)。
本記述は正しいです。
■ ウ:支配人の選任決定権限(非常に超重要な例外論点!)
【問題文】
ウ:業務執行社員が2人以上ある場合には、合資会社における支配人の選任の登記の申請書には、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を添付しなければならない。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
商業登記法・会社法の中で**超超超重要かつ頻出の超重要論点**です!
持分会社において「支配人の選任及び解任」は、たとえ業務執行社員を定めている場合であっても、業務執行社員の過半数ではなく**「社員の過半数(業務執行権のない有限責任社員等を含む全社員の過半数)」**で決定します(会社法591条1項・2項)。
なぜなら、支配人は会社に代わって一切の裁判上・裁判外の行為をする極めて強力な権限を持つため、業務執行を行わない社員の利害にも大きく直結するからです。
したがって、添付すべきは「業務執行社員の過半数の一致を証する書面」ではなく、**「総社員(全社員)の過半数の一致を証する書面」**です。本記述は誤りです。
■ エ:法人格を持つ代表社員の「職務執行者」の資格
【問題文】
エ:合同会社の代表社員が株式会社となる場合には、当該代表社員の職務執行者を当該株式会社において選任された当該株式会社の役員でない者とする設立の登記を申請することはできない。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
法人が持分会社の業務執行社員や代表社員となる場合、その法人は実際に業務・職務を行う「職務執行者」を選任し、その旨を通知(登記)しなければなりません(会社法598条1項)。
この選任される「職務執行者」は、**その法人の代表取締役や役員(取締役等)に限られず、単なる従業員や外部の第三者であっても選任することができます**。法人の役員でない者を職務執行者に選任して登記を申請することは何ら妨げられません。
申請することはできないとする本記述は誤りです。
■ オ:合同会社における業務執行権の喪失と登記事項
【問題文】
オ:合同会社において、業務執行社員が業務を執行しないこととなった場合には、業務執行権の喪失による変更の登記を申請しなければならない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
合同会社においては、誰が業務執行権を持っているか(=業務執行社員は誰か)が登記事項となっています(会社法914条7号)。(※合名会社・合資会社では業務執行社員の氏名・名称は登記事項ではありません)
そのため、合同会社において定款変更等により業務執行社員が業務を執行しないこととなった(業務執行権を喪失した)場合には、登記事項に変更が生じるため、「業務執行権の喪失(または業務執行社員の退任等)」による変更の登記を申請しなければなりません。
本記述は正しいです。
■ まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「誤っているものの組合せ」を求めています。
・ア:正しい(通常の業務執行は業務執行社員の過半数)
・イ:正しい(総社員の同意退社は退社届+他社員全員の同意書)
・ウ:誤り(支配人の選解任は「全社員の過半数」であって業務執行社員の過半数ではない)
・エ:誤り(法人社員の職務執行者は役員以外の者でも選任できる)
・オ:正しい(合同会社では業務執行社員が登記事項のため変更登記が必要)
誤っている記述は ウ と エ なので、正解は 5 となります。
💡 本問のスピード解法テクニック
- 超超超有名論点である ウ(支配人の選解任は「社員の過半数」⇒業務執行社員の過半数はバツ) を即座に見抜きます。 ⇒ ウを含む 1(アウ) または 5(ウエ) に絞られます。
- 次に ア と エ を比較します。
- エ(職務執行者は役に限定されない⇒バツ) を見抜けば、迷わず 5(ウ エ) を自信を持ってマークできます!
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