【令和6年度 司法書士試験】午前の部 第19問:民法「組合」の完全解説

2026年7月1日水曜日

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19問は「民法上の組合」です。

 

民法上の組合とは、複数の人がお金や労力を出し合って、共同でビジネスなどの事業を行うための集まり(サークルや共同経営体など)のことです。

 

この分野は、平成30年の民法大改正で「途中で入ってきた組合員や、やめた組合員の責任はどうなる?」という実務上も揉めやすいポイントが条文(民法677条の2680条の2)としてバシッと新設されました。

 

今回の問題は、まさにその新設された超重要条文がそのまま狙われています。

 

 

 

問題文

 

民法上の組合に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。商法の適用は考慮しないものとして、解答してください。

 

ア 組合の業務の決定は、業務執行者があるときであっても、組合員の過半数をもってする。

 

イ 組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない。

 

ウ 組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。

 

エ 脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。

 

オ 組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務を弁済する責任を負う。

 

 

 

【選択肢】

 

 1:ア ウ

 

 2:ア オ

 

 3:イ ウ

 

 4:イ エ

 

 5:エ オ

 

 

 

ア:組合の業務の決定権者について

 

【問題文】

 

ア 組合の業務の決定は、業務執行者があるときであっても、組合員の過半数をもってする。

 

 

【結論:誤り】

 

 

状況イメージ

 

ABCDE5人で共同でカフェを経営する組合を作りました。

 

5人全員で話し合うのは大変なので、「実務のリーダー(業務執行者)」としてAさんとBさんの2人を選びました。

 

このカフェの新しいメニューを決める際、リーダーであるAさんとBさんが決めるのではなく、やはり原則通り5人全員(組合員)の過半数(3人以上)で決めなければならないのでしょうか?

 

 

解説

 

組合の仕事(業務)をどう進めるかは、原則として「組合員の過半数」で決めます。

 

ただし、組合員の中から「君がリーダーとして仕事を取り仕切ってくれ!」と業務執行者(リーダー)を選んだ場合は話が変わります。

 

せっかく選んだリーダーを無視して全員で決めていたら、スピード感のある経営ができないからです。

 

そのため、業務執行者がいるときは、「業務執行者の過半数」で業務を決めることになります。

 

記述の「業務執行者があるときであっても、組合員の過半数をもってする」という部分は間違いです。

 

 

📌 暗記のポイント: リーダーがいないなら「みんなの過半数」。リーダーがいるなら「リーダー同士の過半数」で決める!

 

 

【参照条文:民法第6701項、2項】

 

組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。 2 前項の規定にかかわらず、組合契約で業務執行者を定めたときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。

 

 

 

イ:他の組合員の債務不履行による契約解除

 

【問題文】

 

イ 組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない。

 

 

【結論:正しい】

 

 

状況イメージ

 

ABC3人で資金を出し合ってネットショップを始める組合契約を結びました。

 

ところが、Bさんがいつまで経っても約束の出資金(お金)を払ってくれません。

 

腹を立てたAさんは、「Bが約束を破ったから、この組合契約自体を丸ごと解除してナシにするわ!」と、普通の売買契約のように白紙に戻すことができるでしょうか?

 

 

解説

 

一般的な契約(売買など)なら、相手が約束を破ったら(債務不履行)、契約を解除して白紙に戻せます。

 

しかし、組合契約は複数の人が集まってスタートした「一つの組織」です。

 

誰か一人がサボったからといって、契約全体を一発で白紙にしてしまうと、真面目にやっている他のメンバー(Cさん)や、すでにその組合と取引を始めているまわりの人たちが大迷惑を被ってしまいます。

 

そのため法律は、「誰かが約束を破っても、組合契約自体を解除してリセットすることはできない」と定めています(民法667条の22項)。

 

サボったメンバーには、解除ではなく「クビ(除名)」にするなどの方法で対応することになります。

 

 

📌 暗記のポイント: 組織を巻き添えにしないため、メンバーのサボりを理由に組合契約の「解除」はできない!

 

 

【参照条文:民法第677条の22項(要約)】

 

組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務を履行しないことを理由としては、組合契約の解除をすることができない。

 

 

 

ウ:組合員の個人債権者と組合財産の関係

 

【問題文】

 

ウ 組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。

 

 

【結論:正しい】

 

 

状況イメージ

 

ABCの組合(カフェ)は、お店の財産として「エスプレッソマシン」を持っています。

 

ある日、組合員の一人であるAさんが、個人的なギャンブルの借金を返せなくなってしまいました。

 

Aさんに個人的にお金を貸していたサラ金業者(債権者)は、「Aの代わりに、あの組合の私物であるエスプレッソマシンを差し押さえて売り払ってやる!」と、組合の財産に手をつけることができるでしょうか?

 

 

解説

 

組合の財産(お店の売上や備品など)は、メンバー全員の「合有(ごうゆう)」という特別な形で守られています。

 

個人の財産とはハッキリ区別されているのです。

 

もし、メンバー一人の個人的な借金のせいで、組合の大切な備品やオフィスが差し押さえられてしまったら、真面目に働いている他のメンバー(Bさん・Cさん)が営業できなくなって大損害を受けてしまいますよね。

 

ですから、「組合員個人の債権者は、組合全体の財産に対して差し押さえなどの権利を行使することはできない」という鉄壁のルールがあります(民法677条)。

 

 

📌 暗記のポイント: メンバー個人の借金のせいで、組合の財産(お店の備品など)を差し押さえることは絶対にできない!

 

 

【参照条文:民法第677条】

 

組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。

 

 

 

エ:脱退した組合員の「過去の債務」への責任

 

【問題文】

 

エ 脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。

 

 

【結論:正しい】

 

 

状況イメージ

 

Aさんは組合の一員として一緒にビジネスをしていましたが、途中で「僕、今月で組合をやめます(脱退)」と抜けることになりました。

 

ただ、Aさんがやめる前の時点で、組合は銀行から500万円の借金(組合債務)をしていました。

 

Aさんは「もうやめた関係ない一般人だから、あの古い借金は残ったメンバーだけで返してね!」と、すっかり踏み倒すことができるでしょうか?

 

 

解説

 

平成30年改正で明文化された、極めて常識的なルールです。

 

自分がまだ組合にいた頃に発生した借金(債務)については、組合を抜けた後であっても、当然そのまま責任を負い続けます。

 

やめれば過去の責任までチャラになるなんて都合の良いルールが通ったら、借金だらけになった瞬間にみんな脱退して逃げてしまいますからね。

 

記述の通り、「脱退前に生じた債務」については、やめた後も責任を負わなければなりません。

 

 

📌 暗記のポイント: 組合をやめても、「自分がいた頃にできた借金」の責任からは逃げられない!

 

 

【参照条文:民法第680条の21項】

脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。

 

 

 

オ:途中加入した組合員の「過去の債務」への責任

 

【問題文】

 

オ 組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務を弁済する責任を負う。

 

 

【結論:誤り】

 

 

状況イメージ

 

ABの組合に、新メンバーとしてCさんが「楽しそうだから僕も入れて!」と途中加入しました。

 

ところが、Cさんが入るよりずっと前の段階で、この組合は1000万円の莫大な借金を抱えていました。

 

新しく入ったばかりのCさんは、「君も今日からメンバーなんだから、俺たちが昔作ったこの1000万の借金、一緒に背負って返してね」と言われてしまうのでしょうか?

 

 

解説

 

これもエの裏返しで、平成30年改正で新しくできた超重要条文です。

 

新しく途中加入した組合員は、「自分がお店(組合)に入る前に勝手にできていた借金」については、一切責任を負う必要はありません(民法677条の2)。

 

自分が関与していない過去の負債まで強制的に背負わされるとしたら、怖すぎて誰も既存の組合に新メンバーとして入ってくれなくなってしまいますよね。

 

組合の活性化のためにも、途中加入者は過去の借金から守られています。

 

なお、会社法上の「合名会社」などに途中加入する場合は、過去の債務も背負うという真逆のルール(会社法5802項)があるため、司法書士試験ではそこを突く引っ掛け問題として超頻出です!

 

 

📌 暗記のポイント: 新しく途中加入したメンバーは、「入る前の昔の借金」は背負わなくていい!

 

 

【参照条文:民法第677条の2

 

組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。

 

 

 

まとめ

 

🏁 正解の組み合わせ

 

本問は「誤っているものの組合せ」を求めています。

 

誤っている記述は ア と オ なので、正解は 2 となります。

 

本試験会場での理想的な解き方ステップは以下の通りです。

 

  1. まず、改正民法で超メジャー化した オ(途中加入者は過去の借金を背負わない記述は「負う」なのでバツ) を見つける。この時点で、選択肢がに絞られます。

 

  1. あとは相方の ア(リーダーがいるならリーダーの過半数なのでバツ)か エ(やめても昔の借金は背負うのでマル)をチェックする。

 

これだけで、迷うことなく確実に 2 を選ぶことができます!

 

 

民法上の組合は、会社法(持分会社)のルールと非常に形が似ているため、両者を比較して引っ掛け問題を作ってくるのが試験委員の大好物です。

 

「民法上の組合は、個人の集まりとしての性質が強いから、個人の守りを重視しているんだな」というイメージを持っておくと、本番でもスッキリ答えが導き出せますよ!

 

 

 

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