午後の部の第20問(不動産登記法)の解説です!
テーマは、近年(令和5年4月1日施行)の法改正により実務・試験ともに対策必須となった「法定相続分での登記がされた後の遺産分割」に関する超重要論点。
教授と学生の対話形式で、手続の細かいルールや改正後の運用の違いが問われています。
この論点の背景にあるのは、「先に法定相続分で登記されちゃった後に遺産分割がまとまった場合、どうやってBの単独名義に戻すか?」という問題です。
従来の実務をひっくり返すようなド直球の改正論点が含まれているため、法改正の趣旨をしっかり掴んでおくことが合格への近道です。
学生の解答ア〜オのうち、「正しいもの(マル)」の組合せをスッキリ整理していきましょう!
問題文(教授の質問と学生の解答)
教授: 今日は、甲土地を所有するAが死亡し、甲土地について法定相続分での相続登記がされている場合において、Aの相続人間で遺産分割協議が成立し、相続人の一人であるBが甲土地の所有権を単独で取得したという事例について考えてみましょう。当該事例において、Bが、他の相続人と共同して、他の相続人からBへの持分全部の移転の登記を申請することはできますか。
学生:ア いいえ、できません。
教授: それでは、当該事例において、甲土地をBの単独所有とする所有権の更正の登記を申請する場合について考えていきましょう。当該所有権の更正の登記の登記原因は何になりますか。
学生:イ 登記原因は錯誤になります。
教授: 当該所有権の更正の登記は、誰から申請することができますか。
学生:ウ Bが、単独で申請することができます。
教授: では、当該事例において、法定相続分での相続登記がされた後に、甲土地の所有権全部を目的として抵当権の設定の登記がされた場合において、当該所有権の更正の登記の申請をするときは、添付情報として当該抵当権の抵当権者の承諾を証する情報を提供しなければなりませんか。
学生:エ はい、当該承諾を証する情報を提供しなければなりません。
教授: 最後に、当該事例において、所有権の更正の登記が申請され、その登記が完了した場合には、当該登記の登記権利者に登記識別情報が通知されますか。
学生:オ いいえ、登記識別情報は通知されません。
ア:持分全部移転登記の可否
【結論:誤り(バツ)】解説
法定相続分での登記のあとに遺産分割をした場合、Bの単独名義にするアプローチは2通り選べます。
- 他の相続人からBへの「持分全部移転登記」をする(原因:遺産分割)
- 法定相続の登記そのものを直す「所有権更正登記」をする(原因:遺産分割)
どちらを選んでも構わないため、アプローチの1つである「持分全部移転登記を申請すること」は当然できます。
したがって、「できません」と答えている学生の解答アは誤りです。
イ:更正登記の登記原因
【結論:誤り(バツ)】解説
もうひとつのルートである「所有権更正登記」を選ぶ場合の登記原因の知識です。
もともと、法定相続分でされた登記の時点では、その状態が法律上正しかったわけですから、「最初から間違えていた」ことを意味する「錯誤(さくご)」を原因にすることはできません。
今回は、あとから「遺産分割」という事実が発生したことによってBの単独所有になるため、更正登記であっても登記原因は「遺産分割(日付は協議成立日)」となります。
したがって、「錯誤になります」とする学生の解答イは誤りです。
ウ:更正登記の申請人(令和5年改正の目玉!)
【結論:正しい(マル)】解説
★令和5年4月1日施行の法改正による超重要論点です!
改正前は、更正登記をするためには「Bが登記権利者」「他の相続人が登記義務者」となり、みんなで共同申請しなければなりませんでした。
しかし、非協力的な相続人がいると登記が進まないという問題がありました。
そこで法改正により、遺産分割によって単独で所有権を取得した者(B)は、単独で所有権更正登記を申請することができるようになりました。
遺産分割協議書(+全員の印鑑証明書)を武器に、Bが1人で法務局に行けば更正できるようになったのです。
したがって、学生の解答ウは正しいです。
エ:利害関係人の承諾の要否
【結論:正しい(マル)】解説
更正登記をする際に、「登記上の利害関係を有する第三者」がいるかどうかの判断です。
法定相続分の登記がされた後に、甲土地「全部」に対して抵当権が設定されています。つまり、銀行などの抵当権者は「相続人全員の持分(土地丸ごと)」を担保にとっている状態です。
ここで、土地をBの単独名義に更正してしまうと、抵当権の効力がどうなるかというと、「遺産分割の遡及効(民法909条)」によって、もともとB以外の相続人が持っていた持分に設定されていた抵当権は、原則として消滅してしまう(=担保が減る)危機に瀕します。
これは抵当権者にとって大損害(=まさに利害関係人)ですから、この更正登記を通すためには、「抵当権者の承諾(承諾書)」の添付が絶対に必要になります(不動産登記法68条)。
したがって、学生の解答エは正しいです。
オ:更正登記完了後の登記識別情報の通知
【結論:誤り(バツ)】解説
登記識別情報(昔でいう権利証)が新しく発行されるかどうかのルールです。
登記識別情報は、「新たに登記名義人となる者」に対して通知されます(不動産登記法21条)。
今回の更正登記によって、Bさんはもともと持っていた「法定相続分の持分」に加えて、他の相続人が持っていた分の持分を「新たに取得」して単独所有者になります。
この「新しく手に入れた持分」の範囲について、Bさんには新しい登記識別情報がしっかり通知されます。
したがって、「通知されません」とする学生の解答オは誤りです。
まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「正しいものの組合せ」を求めています。
- ア:誤り(移転も更正も選べる)
- イ:誤り(錯誤ではなく遺産分割)
- ウ:正しい(法改正によりBの単独申請が可能に!)
- エ:正しい(抵当権者の承諾が必要)
- オ:誤り(登記識別情報は通知される)
正しい記述は ウ と エ なので、正解は 4 となります。
【現場での理想的なスピード解決ステップ】
- 受験生なら絶対にマークしている令和5年改正のド定番知識である ウ(遺産分割による更正登記はBの単独申請ができる ⇒ 100%マル) を見つける。 ⇒ この時点で、ウを含む ③ か ④ に絞られます。
- 相方である イ(原因は錯誤 ⇒ バツ) か エ(利害関係人の承諾が必要 ⇒ マル) を比較します。
- エの「全部に抵当権がある状態で更正すると担保が減らされるから承諾が必要」という利害関係の原則を落ち着いて判定できれば、自信を持って 4 を選ぶことができます!改正論点を軸にした、非常に美しくトレンドを押さえた良問です。
💡 司法書士試験の過去問を解いていて、こんな悩みはありませんか?
* 「解説を読めば理解できるけど、知識が定着せず本番で思い出せない…」
* 「分厚いテキストと過去問集を持ち歩くのが重くて、隙間時間が活かせていない」
* 「仕事や家事と両立しながら、最短ルートで合格レベルに達したい」
私も最初は膨大な暗記量に挫折しかけましたが、「スキマ時間×スマホ学習」に切り替えたことで合格できました。
忙しい社会人でも無理なく続けられる、私が実践した「スタディングを活用した司法書士試験の効率学習法」を以下の記事で詳しく公開しています!
↓
👉 【実録】働きながら司法書士試験に合格!独学の壁を破った「スタディング」活用・効率学習法はこちら

0 件のコメント:
コメントを投稿