【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第26問:不動産登記法「審査請求」の完全解説
午後の部の第26問(不動産登記法)の解説です!
テーマは、手続法の終盤で登場する「登記官の処分に対する審査請求」。商業登記法でも同様の構造で出題される重要論点です。
この論点を攻略するポイントは、①「行政不服審査法の一般的なルールと、不動産登記での特例(執行停止の除外など)の違い」、②「登記が完了してしまった後の不服申立ての制限」の2点をしっかり整理することです。
今回は「誤っているものの組合せ」を問う問題ですので、各肢の○×をミスなく判定していきましょう!
それでは、各肢を詳しく解説していきます。
■ 問題文
不動産登記における審査請求に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア
登記の申請を却下する処分に対する審査請求は、当該申請において提供された申請情報及びその添付情報の保存期間が経過した後もすることができる。
イ
法務局又は地方法務局の長は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の執行の停止の措置をとることができる。
ウ
登記の申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、登記官が何らの処分をもしない場合には、審査請求をすることができる。
エ
審査請求人が死亡し、その相続人が審査請求人の地位を承継した場合には、当該相続人は、処分をした登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に対し、書面でその旨を届け出なければならない。
オ
所有権の移転の登記が完了したが、当該登記が申請の権限を有しない者の申請によりされたものであると判明した場合には、そのことを理由として審査請求をすることができる。
【選択肢】
1:ア イ
2:ア エ
3:イ オ
4:ウ エ
5:ウ オ
■ ア:審査請求の期間(保存期間経過後の審査請求)
【問題文】
ア:登記の申請を却下する処分に対する審査請求は、当該申請において提供された申請情報及びその添付情報の保存期間が経過した後もすることができる。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
不動産登記法上の審査請求には、一般的な行政不服審査法のような「処分があったことを知った日の翌日から3か月以内」といった「期間制限(不服申立期間)」が原則として適用されません(不動産登記法156条1項)。
したがって、審査請求をする法律上の利益(審査請求権)がある限り、いつでも審査請求をすることができます。
仮に申請情報や添付情報の保存期間が経過していたとしても、それだけで審査請求権が消滅するわけではないため、審査請求をすること自体は可能です(ただし、証拠資料が破棄されていることで実質的に不利益を被る可能性はあります)。よって記述は正しいです。
■ イ:処分の執行停止措置の適用の有無
【問題文】
イ:法務局又は地方法務局の長は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の執行の停止の措置をとることができる。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
一般的な行政手続では行政不服審査法25条に基づき「執行停止」制度が存在しますが、不動産登記の手続においては「執行停止」の規定は不適用(準用除外)とされています(不動産登記法158条)。
不動産登記は順位の確保や取引の安全が極めて重視されるため、個別の不服申立てによって登記官の処分をストップさせると、他の登記申請者の順位や取引に予期せぬ混乱・障害が生じるからです。
したがって、法務局長が職権や申立てにより執行停止の措置をとることはできません。記述は誤りです。
■ ウ:登記官の「不作為」に対する審査請求
【問題文】
ウ:登記の申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、登記官が何らの処分をもしない場合には、審査請求をすることができる。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
審査請求の対象となるのは、登記官がした積極的な「処分(却下決定など)」だけではありません。
登記の申請をしたにもかかわらず、放置されて何の応答・処分もされないという「不作為」に対しても審査請求を行うことができます(不動産登記法156条2項)。
したがって、相当期間放置されている場合に不作為を理由として審査請求ができるとする本記述は正しいです。
■ エ:審査請求人の死亡と相続人による地位の承継届出
【問題文】
エ:審査請求人が死亡し、その相続人が審査請求人の地位を承継した場合には、当該相続人は、処分をした登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に対し、書面でその旨を届け出なければならない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
審査請求の審理中に審査請求人が死亡した場合、その審査請求権(不服申立ての地位)は一般承継人である「相続人」に引き継がれます。
審査請求人の地位を承継した相続人は、審査請求の審理機関・裁決機関である「法務局長又は地方法務局長」に対して、書面で承継の旨を届け出なければなりません(行政不服審査法15条6項、不動産登記令・規則等)。
したがって、本記述は正しいです。
■ オ:実行完了した登記に対する審査請求の可否
【問題文】
オ:所有権の移転の登記が完了したが、当該登記が申請の権限を有しない者の申請によりされたものであると判明した場合には、そのことを理由として審査請求をすることができる。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
不動産登記法上の大原則:「一旦完了してしまった登記に対しては、たとえ無効・違法な登記であっても審査請求で消去(抹消)することはできない」という超重要論点です。
無権限者の申請(虚偽の申請など)によって完了してしまった所有権移転登記であっても、審査請求の手続によって登記官や法務局長が職権で抹消することは許されません。
このような場合は、審査請求ではなく、民事訴訟(所有権移転登記抹消請求訴訟など)を起こして判決を得て解決すべき領域となります(判例・先例)。したがって、審査請求ができるとする本記述は誤りです。
■ まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「誤っているものの組合せ」を求めています。
・ア:正しい(不登法上の審査請求に期間制限なし)
・イ:誤り(不登法の審査請求では執行停止は適用されない)
・ウ:正しい(不作為に対しても審査請求可能)
・エ:正しい(相続人が引き継ぎ、法務局長へ書面届出)
・オ:誤り(完了した登記に対する審査請求は不可)
誤っている記述は イ と オ なので、正解は 3 となります。
💡 現場での理想的なスピード解決ステップ
- 不動産登記の審査請求で最も有名な超基本知識である オ(完了した登記に対する審査請求はバツ⇒裁判へ) を見破ります。 ⇒ これでオを含む ③(イオ) か ⑤(ウオ) に絞られます。
- 次に イ と ウ を比較します。
- イ(執行停止ができる⇒バツ)、または ウ(不作為に対する審査請求⇒マル) のどちらか片方の知識を判定できれば、瞬時に 3(イ オ) を確実な正解として導き出せます!
### 💡 司法書士試験の過去問を解いていて、こんな悩みはありませんか?
* 「解説を読めば理解できるけど、知識が定着せず本番で思い出せない…」
* 「分厚いテキストと過去問集を持ち歩くのが重くて、隙間時間が活かせていない」
* 「仕事や家事と両立しながら、最短ルートで合格レベルに達したい」
私も最初は膨大な暗記量に挫折しかけましたが、**「スキマ時間×スマホ学習」**に切り替えたことで合格できました。
忙しい社会人でも無理なく続けられる、私が実践した**「スタディングを活用した司法書士試験の効率学習法」**を以下の記事で詳しく公開しています!
↓
👉 【実録】働きながら司法書士試験に合格!独学の壁を破った「スタディング」活用・効率学習法はこちら


0 件のコメント:
コメントを投稿