【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第27問:不動産登記法「登録免許税」の完全解説
午後の部の第27問(不動産登記法)の解説です!
テーマは、択一式のみならず記述式試験でも合否を分ける超重要分野「登録免許税」です。
登録免許税の計算・税率は、基本的な課税標準(不動産の価格/債権金額/1不動産につき1,000円など)と非課税規定・上限規定をしっかり暗記しておくことで確実に得点源にできる領域です。
今回の問題は「誤っているものの組合せ」を問う問題ですので、各肢の税率・計算ルールを精査して判定していきましょう!
それでは、各肢を詳しく解説していきます。
■ 問題文
登録免許税に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとする。
ア
一の申請情報により20個を超える不動産についてする錯誤による所有権の登記名義人の住所の更正の登記の登録免許税の額は、2万円である。
イ
信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみを受益者とする信託の登記がされている不動産についてする受託者から受益者への所有権の移転の登記については、登録免許税が課されない。
ウ
所有権の登記名義人の住所が誤って登記された後に、当該登記名義人の住所について変更があった場合において、一の申請情報により当該登記名義人の住所の更正の登記と住所の変更の登記とを同時に申請するときの登録免許税の額は、不動産の個数1個につき2000円である。
エ
抵当権の信託の仮登記の登録免許税の額は、債権金額に1000分の1を乗じた額である。
オ
法定相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記がされている場合において、遺産分割協議により相続人の一人が所有権を取得したときの所有権の更正の登記の登録免許税の額は、不動産の個数1個につき1000円である。
【選択肢】
1:ア ウ
2:ア オ
3:イ ウ
4:イ エ
5:エ オ
■ ア:住所更正登記の税額と上限2万円ルールの適用範囲
【問題文】
ア:一の申請情報により20個を超える不動産についてする錯誤による所有権の登記名義人の住所の更正の登記の登録免許税の額は、2万円である。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
登記名義人の氏名・名称・住所の変更・更正登記の登録免許税は、原則として「不動産1個につき1,000円」です(登録免許税法別表第一・一(14))。
本肢がひっかけている「20個を超える場合に2万円上限」というルールは、「抹消登記(および差押え・仮差押え・仮処分等の登記の抹消)」にのみ適用される特例です(登録免許税法別表第一・一(15))。
住所や氏名の変更・更正登記にはこの上限規定(2万円)はありません。したがって、20個を超える不動産について住所更正をする場合でも、単純に「不動産の個数×1,000円」となります(例:25個なら25,000円)。「2万円である」とする記述は誤りです。
■ イ:自益信託の受託者から受益者への移転登記(非課税)
【問題文】
イ:信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみを受益者とする信託の登記がされている不動産についてする受託者から受益者への所有権の移転の登記については、登録免許税が課されない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
信託財産の所有権移転に関する非課税規定を問う問題です(登録免許税法7条1項2号)。
信託開始時からずっと「委託者=受益者」である自益信託において、信託が終了する等して受託者から受益者(=もともとの委託者)へ所有権を戻す移転登記をする場合、実質的には自分の財産が手元に戻ってきただけに過ぎません。
そのため、この所有権移転登記については登録免許税が非課税(課されない)と定められています。したがって記述の通りで正しいです。
■ ウ:同一申請情報による「住所更正+住所変更」の登録免許税
【問題文】
ウ:所有権の登記名義人の住所が誤って登記された後に、当該登記名義人の住所について変更があった場合において、一の申請情報により当該登記名義人の住所の更正の登記と住所の変更の登記とを同時に申請するときの登録免許税の額は、不動産の個数1個につき2000円である。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
登記名義人の表示変更(変更登記)と表示更正(更正登記)を一の申請情報(一括申請)で行う場合の登録免許税額のルールです。
登記名義人の氏名や住所に関する「変更」と「更正」を一の申請情報で申請する場合、課税上の扱いは「1件(一の申請)」として計算され、不動産1個につき1,000円となります(先例)。「更正で1,000円 + 変更で1,000円 = 2,000円」と二重取りされるわけではありません。
したがって、「不動産の個数1個につき2,000円である」とする本記述は誤りです。
■ エ:抵当権の信託の仮登記の税率
【問題文】
エ:抵当権の信託の仮登記の登録免許税の額は、債権金額に1000分の1を乗じた額である。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
信託登記の税率および仮登記の税率に関する複合知識です。
まず、担保権(抵当権等)の信託の本登記の登録免許税率は「債権金額の 2/1,000(1,000分の2)」です(登録免許税法別表第一・一(10))。
そして、信託の「仮登記」を行う場合、税率は本登記の半額(1/2)となるため、「2/1,000 × 1/2 = 1/1,000(1000分の1)」となります。
したがって、債権金額に1000分の1を乗じた額とする本記述は正しいです。
■ オ:遺産分割による所有権更正登記の税額
【問題文】
オ:法定相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記がされている場合において、遺産分割協議により相続人の一人が所有権を取得したときの所有権の更正の登記の登録免許税の額は、不動産の個数1個につき1000円である。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
一旦「法定相続分」で所有権移転登記を入れた後、遺産分割協議が成立して「特定の相続人1人の単独所有」に変更するための所有権更正登記についての税額です。
この所有権更正登記は、所有権の移転(持分移転)ではなく、あくまで当初の相続登記の「更正(表示・持分の是正)」であるため、定額課税となり「不動産1個につき1,000円」となります(登録免許税法別表第一・一(14))。
したがって、不動産の個数1個につき1,000円とする本記述は正しいです(※記述式試験でも『1不動産につき1,000円』と書かせる定番論点です)。
■ まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「誤っているものの組合せ」を求めています。
・ア:誤り(2万円キャップは抹消登記のみ。住所更正は個数×1,000円)
・イ:正しい(自益信託の終了に伴う移転は非課税)
・ウ:誤り(住所更正+住所変更の同時申請は1件扱い⇒不動産1個につき1,000円)
・エ:正しい(抵当権信託の仮登記は 1/1,000)
・オ:正しい(法定相続後の遺産分割による所有権更正は不動産1個につき1,000円)
誤っている記述は ア と ウ なので、正解は 1 となります。
💡 現場での理想的なスピード解決ステップ
- 記述式試験でも超鉄板知識である ウ(住所更正+変更の一括申請⇒不動産1個1,000円なので2,000円はバツ) を速攻で見抜きます。 ⇒ これでウを含む ①(アウ) か ③(イウ) に速攻で絞れます。
- 次に ア と イ を比較します。
- ア(20個超え2万円上限は抹消登記だけ⇒住所更正に上限はないのでバツ) と判断できれば、確信を持って 1(ア ウ) を正解として導き出せます!
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