【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第29問:商業登記法「株式会社の設立の登記」の完全解説

2026年8月20日木曜日

令和6年度【商業登記法】

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【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第29問:商業登記法「株式会社の設立の登記」の完全解説

午後の部の第29問(商業登記法)の解説です!

毎年、商業登記法の第1問目として出題される超定番テーマ「株式会社の設立の登記」です。

外国人役員の署名証明書、海外居住者のみの払込証明書の運用、役員選任の要件(過半数か全員一致か)、オンライン即時同時申請の取扱など、近年の法改正や先例・通達に基づいた実務的かつ重要度の高い論点が一通り網羅されています。

今回の問題は「誤っているものの組合せ」を問う問題ですので、各肢の○×をミスなく判定していきましょう!

それでは、各肢を詳しく解説していきます。

■ 問題文

株式会社の設立の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。

外国人が取締役会設置会社の設立時代表取締役に就任した場合において、当該設立時代表取締役が就任を承諾したことを証する書面に署名しているときは、当該会社の設立の登記の申請書には、市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えて、当該書面の署名が本人のものであることの本国官憲の作成した証明書を添付することができる。

株式会社の設立が発起設立であり、添付書面の記載から発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していないことが明らかである場合において、発起人及び設立時取締役以外の者名義の預金口座に出資に係る金銭が払い込まれたときは、当該設立の登記の申請書には、発起人が当該預金口座の名義人に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面を添付しなければならない。

株式会社の設立が募集設立であり、当該設立の登記の申請書に設立時取締役及び設立時監査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類の添付を要する場合において、設立時取締役のうちの1名が創立総会に欠席したときは、創立総会に出席した設立時取締役及び設立時監査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付すれば足りる。

株式会社の設立が発起設立であり、設立しようとする会計参与設置会社の定款に設立時会計参与を定めなかった場合には、当該設立の登記の申請書には、設立時会計参与の選任につき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。

株式会社の設立の登記の申請が、電子情報処理組織を使用する方法により、公証人への定款の認証の嘱託と同時にされた場合において、申請された日の当日中に定款が認証されなかったときは、当該設立の登記の申請は却下される。

【選択肢】

1:ア イ
2:ア オ
3:イ ウ
4:ウ エ
5:エ オ

■ ア:外国人代表取締役の就任承諾書とサイン証明書(印鑑証明書の代替)

【問題文】

ア:外国人が取締役会設置会社の設立時代表取締役に就任した場合において、当該設立時代表取締役が就任を承諾したことを証する書面に署名しているときは、当該会社の設立の登記の申請書には、市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えて、当該書面の署名が本人のものであることの本国官憲の作成した証明書を添付することができる。

【結論:正しい(マル)】

【解説】

取締役会設置会社の代表取締役が就任する際、原則として就任承諾書に押印された印鑑について市町村長作成の印鑑証明書を添付する必要があります(商業登記規則61条7項)。

しかし、日本の市区町村に印鑑登録をしていない外国人等の場合、就任承諾書に署名(サイン)をした上で、その署名が本人のものである旨の本国官憲(領事館や本国の公証人等)が作成した「署名証明書(サイン証明書)」を添付することで、市区町村長の印鑑証明書の添付に代えることができます(商業登記規則61条8項・通達)。

したがって、本記述は正しいです。

📌 暗記のポイント: 印鑑登録制度のない外国人は、市区町村長の「印鑑証明書」代わりに、本国官憲の「署名証明書(サイン証明書)」でOK!

■ イ:発起人全員が海外居住者の場合の第三者名義口座への払い込み

【問題文】

イ:株式会社の設立が発起設立であり、添付書面の記載から発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していないことが明らかである場合において、発起人及び設立時取締役以外の者名義の預金口座に出資に係る金銭が払い込まれたときは、当該設立の登記の申請書には、発起人が当該預金口座の名義人に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面を添付しなければならない。

【結論:正しい(マル)】

【解説】

発起設立における出資の払込み(払込取扱機関・預金口座名義人)に関する重要通達です。

原則として払込金の受領用口座は「発起人(または設立時取締役)」の名義である必要があります。しかし、発起人および設立時取締役の全員が国外に居住していて日本国内に口座を持てない場合等の救済措置として、発起人以外の第三者(例えば日本の協力者や司法書士など)の預金口座に払い込むことが認められています。

その際、当該第三者の口座に払い込まれたことが適法な出資の履行であることを証明するため、「発起人がその口座名義人(第三者)に対して払込金の受領権限を委任したことを証する書面(委任状)」を登記申請書に添付しなければなりません(平成29年3月5日民商第41号通達)。

したがって、本記述は正しいです。

📌 暗記のポイント: 発起人・設立時役員全員が海外居住者の場合、第三者名義口座への払込も可能!ただし「払込金受領権限の委任状」の添付が必須!

■ ウ:募集設立における調査報告書の作成者(全員の義務)

【問題文】

ウ:株式会社の設立が募集設立であり、当該設立の登記の申請書に設立時取締役及び設立時監査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類の添付を要する場合において、設立時取締役のうちの1名が創立総会に欠席したときは、創立総会に出席した設立時取締役及び設立時監査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付すれば足りる。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

設立時取締役・監査役による設立手続等の調査および報告(調査報告書)についての知識です。

会社法第93条1項・2項により、設立時取締役および設立時監査役は、選任後遅滞なく設立手続の適法性等を調査し、創立総会に報告しなければならないとされています。この調査および報告書の作成は、選任された「設立時取締役および設立時監査役の全員」が行わなければなりません。

たとえ創立総会を欠席した者がいたとしても、調査報告義務が免除されるわけではないため、調査報告書には「設立時取締役および設立時監査役全員」の署名・押印が必要です。創立総会に出席した者だけの報告書で足りるとする本記述は誤りです。

📌 暗記のポイント: 設立時役員の調査報告は「全員」の義務!創立総会を欠席した役員がいても、調査報告書には「役員全員」の署名押印が必要!

■ エ:発起設立における設立時役員(設立時会計参与)の選任要件

【問題文】

エ:株式会社の設立が発起設立であり、設立しようとする会計参与設置会社の定款に設立時会計参与を定めなかった場合には、当該設立の登記の申請書には、設立時会計参与の選任につき発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

発起設立における設立時役員等の選任要件を問う問題です。

会社法第40条1項において、「設立時役員等(設立時取締役、設立時監査役、設立時会計参与等)の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する」と規定されています。

「発起人全員の同意(全員一致)」が必要となるのは、定款の作成・変更や、現物出資等の事項など限られた場面です(会社法25条1項、33条など)。設立時役員(設立時会計参与を含む)の選任については「発起人の議決権の過半数」で足りるため、添付書面も「発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面」で足ります。「全員の同意を証する書面」を要するとする本記述は誤りです。

📌 暗記のポイント: 発起設立での設立時役員(取締役・監査役・会計参与)の選任は「発起人の議決権の過半数」!全員一致(全員の同意)ではない!

■ オ:定款認証と設立登記の「同時申請(オンライン即日)」の取扱

【問題文】

オ:株式会社の設立の登記の申請が、電子情報処理組織を使用する方法により、公証人への定款の認証の嘱託と同時にされた場合において、申請された日の当日中に定款が認証されなかったときは、当該設立の登記の申請は却下される。

【結論:正しい(マル)】

【解説】

オンラインによる「定款認証と設立登記の同時申請(いわゆるファストトラック・即日処理手続き)」の取扱に関する規定です。

公証人に対する定款認証の嘱託と、法務局に対する設立登記の申請をオンラインで同時に行う制度では、「申請日当日中に定款認証が完了すること」が前提となっています。

株式会社の設立登記には認証済みの定款が絶対的添付書面(前提条件)となるため、申請日当日中に定款が認証されなかった場合には、設立登記申請の要件を満たさないこととなり、当該設立登記の申請は却下(または取下げ)の対象となります(商業登記取扱手続)。したがって、本記述は正しいです。

📌 暗記のポイント: オンラインで定款認証と設立登記を「同時申請」した場合、当日中に認証が終わらなければ設立登記は却下される!

■ まとめ

🏁 正解の組み合わせ

本問は「誤っているものの組合せ」を求めています。

・ア:正しい(外国人はサイン証明書で印鑑証明書の代用可)
・イ:正しい(海外居住者のみの場合、第三者口座払込+受領権限委任状でOK)
・ウ:誤り(調査報告書は創立総会欠席者を含めた役員全員の作成が必要)
・エ:誤り(設立時役員の選任は過半数で足り、全員の同意は不要)
・オ:正しい(同時申請で当日認証されなければ却下)

誤っている記述は なので、正解は 4 となります。

💡 現場での理想的なスピード解決ステップ

  1. 会社法の超基本知識である エ(設立時役員の選任は過半数⇒全員の同意はバツ) を速攻で見抜きます。 ⇒ これでエを含む ④(ウエ)⑤(エオ) に一気に絞られます。
  2. 次に を比較します。
  3. ウ(調査報告書は欠席者も含め全員の作成が必要⇒出席者だけで足りるとするウはバツ) と判断できれば、迷うことなく 4(ウ エ) を正解として確定できます!


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