【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第30問:商業登記法「監査役会設置会社の役員等に関する登記」の完全解説
午後の部の第30問(商業登記法)の解説です!
今回のテーマは「監査役会設置会社における社外監査役・会計監査人・一時会計監査人」に関する登記手続きです。
機関設計の変更に伴う社外性の登記の抹消、会計監査人の解任手続き(株主総会 vs 監査役会)、一時会計監査人の選任手続きと正式な会計監査人選任時の職権抹消など、合格のために絶対に落とせない重要論点が集約されています。
本問は「誤っているものの組合せ」を問う問題ですので、各肢の○×判定を確実に行っていきましょう!
それでは、各肢を詳しく解説していきます。
■ 問題文
監査役会設置会社の役員等に関する登記についての次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア
監査役会を置く旨の定款の定めを廃止した場合において、当該定めの廃止の登記を申請するときは、当該申請と同時に、社外監査役である旨の登記がされている監査役について、社外監査役である旨の登記の抹消を申請しなければならない。
イ
株主総会の決議により会計監査人を解任した場合には、会計監査人の退任による変更の登記の申請書には、監査役会が当該株主総会の議案の内容を決定したことを証する書面を添付しなければならない。
ウ
職務を怠ったことを理由として監査役会が会計監査人を解任した場合には、会計監査人の退任による変更の登記の申請書には、監査役の全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
エ
会計監査人が欠けた場合において、監査役会の決議によって一時会計監査人の職務を行うべき者を選任したときは、当該一時会計監査人の職務を行うべき者の就任による変更の登記の申請書には、一時会計監査人を選任した監査役会の議事録を添付しなければならない。
オ
一時会計監査人の職務を行うべき者に関する登記がされている場合において、会計監査人の就任による変更の登記を申請するときは、当該申請と同時に、一時会計監査人の職務を行うべき者に関する登記の抹消を申請しなければならない。
【選択肢】
1:ア イ
2:ア ウ
3:イ オ
4:ウ エ
5:エ オ
■ ア:監査役会廃止に伴う社外監査役である旨の登記の抹消
【問題文】
ア:監査役会を置く旨の定款の定めを廃止した場合において、当該定めの廃止の登記を申請するときは、当該申請と同時に、社外監査役である旨の登記がされている監査役について、社外監査役である旨の登記の抹消を申請しなければならない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
監査役について「社外監査役である旨」が登記事項となるのは、監査役会設置会社および公開会社・大会社等の場合です(会社法911条3項17号イ)。
監査役会設置会社以外の非公開会社・中小会社等では「社外監査役である旨」は登記事項ではありません。そのため、監査役会を置く旨の定款の定めを廃止した場合には、非社外の通常の監査役となるため、当該廃止登記と同時に「社外監査役である旨の登記の抹消」を申請しなければなりません。
したがって、本記述は正しいです。
■ イ:株主総会決議による会計監査人解任時の添付書面
【問題文】
イ:株主総会の決議により会計監査人を解任した場合には、会計監査人の退任による変更の登記の申請書には、監査役会が当該株主総会の議案の内容を決定したことを証する書面を添付しなければならない。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
株主総会の決議により会計監査人を解任した場合(会社法339条1項)の登記申請に必要な添付書面を問う問題です。
株主総会の決議によって役員等(会計監査人含む)を解任・解任による退任の登記を申請する場合、申請書に添付すべき書面は「株主総会議事録」です(商業登記法61条1項)。
確かに監査役会設置会社において、会計監査人の解任に関する株主総会の議案内容は監査役会が決定しますが(会社法344条1項)、その会社内部の議案決定プロセスを証する「監査役会議事録」等は登記申請書上の直接の添付書面とはされていません。添付が必要なのは解任決議そのものを行った「株主総会議事録」のみです。したがって、本記述は誤りです。
■ ウ:監査役会による会計監査人解任時の添付書面(全員の同意)
【問題文】
ウ:職務を怠ったことを理由として監査役会が会計監査人を解任した場合には、会計監査人の退任による変更の登記の申請書には、監査役の全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
監査役(会)による会計監査人の法定解任(会社法340条1項)の手続きおよび添付書面に関する知識です。
会計監査人が職務上の義務に違反し、または職務を怠ったときなど一定の事由がある場合、監査役(監査役会設置会社においては監査役全員)は、その会計監査人を解任することができます(会社法340条1項・2項)。監査役会で解任する場合、通常の多数決ではなく「監査役全員の同意」が必要です。
そのため、監査役会による解任に基づく退任登記の申請書には、解任要件を満たしたことを証するため「監査役全員の同意があったことを証する書面(または全員の同意が記載された監査役会議事録)」を添付しなければなりません。したがって、本記述は正しいです。
■ エ:一時会計監査人の選任における添付書面(監査役会議事録)
【問題文】
エ:会計監査人が欠けた場合において、監査役会の決議によって一時会計監査人の職務を行うべき者を選任したときは、当該一時会計監査人の職務を行うべき者の就任による変更の登記の申請書には、一時会計監査人を選任した監査役会の議事録を添付しなければならない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
会計監査人が欠けた際の一時会計監査人(仮会計監査人)の選任手続きおよび添付書面です。
会計監査人が欠けた場合、遅滞なく新たな会計監査人が選任されないときは、監査役(監査役会設置会社では監査役会)が一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければなりません(会社法346条4項・6項)。
監査役会が一時会計監査人を選任してその就任の登記を申請する場合、選任機関である決議体を証明するため「選任を行った監査役会の議事録」を添付書面として提供する必要があります(商業登記法61条1項)。したがって、本記述は正しいです。
■ オ:正式な会計監査人選任時における一時会計監査人の登記の抹消(職権抹消)
【問題文】
オ:一時会計監査人の職務を行うべき者に関する登記がされている場合において、会計監査人の就任による変更の登記を申請するときは、当該申請と同時に、一時会計監査人の職務を行うべき者に関する登記の抹消を申請しなければならない。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
一時会計監査人の登記がされた後に、正式な会計監査人が選任・就任した場合の登記抹消手続きに関する超重要論点です。
一時会計監査人は、正式な会計監査人が就任した時に当然に退任します(退任登記の申請ではなく)。そして、正式な会計監査人の就任の登記がされたときは、登記官が「職権」で一時会計監査人の職務を行うべき者に関する登記を抹消します(商業登記規則72条2項)。
申請人が「一時会計監査人の登記の抹消を申請しなければならない」とする本記述は誤りです。
■ まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「誤っているものの組合せ」を求めています。
・ア:正しい(監査役会廃止時は社外監査役である旨の登記を抹消申請)
・イ:誤り(株主総会解任時の添付は株主総会議事録のみ。監査役会の議案決定書面は不要)
・ウ:正しい(監査役会解任には全員の同意が必要で、その証明書面を添付)
・エ:正しい(一時会計監査人選任登記には監査役会議事録を添付)
・オ:誤り(正式な会計監査人就任時、一時会計監査人の登記は職権抹消)
誤っている記述は イ と オ なので、正解は 3 となります。
💡 現場での理想的なスピード解決ステップ
- 商業登記法の鉄板知識である オ(一時会計監査人の登記抹消は職権抹消⇒申請が必要とするオはバツ) を見抜きます。 ⇒ オを含む 3(イオ) または 5(エオ) に即座に絞られます。
- 次に イ と エ を比較します。
- イ(株主総会解任時の添付は株主総会議事録で十分⇒バツ) または エ(一時選任の添付は監査役会議事録⇒マル) を判定できれば、迷うことなく 3(イ オ) を自信を持って選べます!
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