【令和6年度 司法書士試験】午後の部 第31問:商業登記法「株式会社の資本金の額の変更の登記」の完全解説
午後の部の第31問(商業登記法)の解説です!
今回のテーマは「株式会社の資本金の額の変更の登記」です。
減資後の資本金の額(100%減資・0円減資)、剰余金・準備金の資本組入れにおける添付書面、定時株主総会における定款・普通決議による欠損てん補のための減資、そして減資無効判決確定時の登記手続き(嘱託登記 vs 申請)など、実務および本試験の超頻出論点が網羅されています。
本問は「正しいものの組合せ」を問う問題です。各肢の○×判定を正確に行い、確実に正解を導き出しましょう!
それでは、各肢を詳しく解説していきます。
■ 問題文
株式会社の資本金の額の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。
ア
減少後の資本金の額を0円とする資本金の額の変更の登記を申請することはできない。
イ
剰余金の資本組入れによる変更の登記の申請書には、当該組入れに係る剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければならない。
ウ
資本金の額の減少による変更の登記があった場合において、当該資本金の額の減少に係る株主総会の決議に無効の原因があるときは、資本金の額の減少の無効の訴えに係る請求を認容する判決書の謄本及び確定証明書を添付して、当該変更の登記の抹消を申請しなければならない。
エ
定時株主総会において、当該定時株主総会の日における欠損の額を超えない範囲で資本金の額を減少する旨の決議が普通決議によりされた場合であっても、資本金の額の減少による変更の登記の申請書には、一定の欠損の額が存在することを証する書面を添付することを要しない。
オ
特例有限会社は、準備金の資本組入れを決議した株主総会の議事録を添付して、資本金の額の変更の登記を申請することができる。
【選択肢】
1:ア エ
2:ア オ
3:イ ウ
4:イ オ
5:ウ エ
■ ア:減少後の資本金の額(0円減資の可否)
【問題文】
ア:減少後の資本金の額を0円とする資本金の額の変更の登記を申請することはできない。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
資本金の額の減少(減資)において、減少する額の上限は「その効力発生日における資本金の額」と定められています(会社法447条2項)。
したがって、資本金の全額を減少させて「減少後の資本金の額を0円」とする減資(いわゆる100%減資など)も法的に認められており、減少後の資本金の額を0円とする変更の登記を申請することができます。
申請することはできないとする本記述は誤りです。
■ イ:剰余金の資本組入れにおける添付書面
【問題文】
イ:剰余金の資本組入れによる変更の登記の申請書には、当該組入れに係る剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければならない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
株式会社が剰余金を資本金に組み入れる場合(会社法450条)、実際に組み入れる原資となる剰余金が存在することを証明する必要があります。
また、剰余金の資本組入れによる変更の登記申請書には、資本組入れの決議書面等に加えて、「当該組入れに係る剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければなりません(商業登記規則61条7項)。したがって、本記述は正しいです。
■ ウ:資本金の額の減少の無効判決と登記手続(嘱託 vs 申請)
【問題文】
ウ:資本金の額の減少による変更の登記があった場合において、当該資本金の額の減少に係る株主総会の決議に無効の原因があるときは、資本金の額の減少の無効の訴えに係る請求を認容する判決書の謄本及び確定証明書を添付して、当該変更の登記の抹消を申請しなければならない。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
資本金の額の減少(減資)が無効である場合、訴え(資本金の額の減少の無効の訴え:会社法828条1項5号)によってのみ主張できます。
そして、当該無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、**裁判所書記官が職権で、遅滞なく登記所にその登記を嘱託する**こととされています(会社法937条1項1号ヘ)。
当事者(会社等)が判決書謄本等を添付して登記の抹消を「申請」するわけではありません。したがって、本記述は誤りです。
■ エ:定時株主総会における欠損てん補減資(普通決議)と添付書面
【問題文】
エ:定時株主総会において、当該定時株主総会の日における欠損の額を超えない範囲で資本金の額を減少する旨の決議が普通決議によりされた場合であっても、資本金の額の減少による変更の登記の申請書には、一定の欠損の額が存在することを証する書面を添付することを要しない。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
資本金の額の減少は原則として株主総会の「特別決議」を要します(会社法309条2項9号)。
しかし、**定時株主総会**において、定時株主総会の日における**欠損の額を超えない範囲**で資本金の額を減少する場合は、例外的緩和措置として「普通決議」で行うことが認められています(会社法309条2項9号かっこ書、447条1項)。
この普通決議特例を利用して減資登記を申請する場合、特別決議ではなく普通決議で足りる要件(欠損の額を超えない範囲であること)を満たしていることを証明するため、「一定の欠損の額が存在することを証する書面」を添付しなければなりません。
添付を要しないとする本記述は誤りです。
■ オ:特例有限会社における準備金の資本組入れ
【問題文】
オ:特例有限会社は、準備金の資本組入れを決議した株主総会の議事録を添付して、資本金の額の変更の登記を申請することができる。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
特例有限会社においても、会社法における準備金の資本組入れ(会社法448条、450条等)に関する規定が適用・準用されます。
特例有限会社が準備金を資本金に組み入れる場合、株主総会の決議(普通決議)によって行うことができ、その決議があったことを証する「株主総会議事録」等を添付して、資本金の額の変更の登記を申請することができます。
したがって、本記述は正しいです。
■ まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「正しいものの組合せ」を求めています。
・ア:誤り(0円減資も可能)
・イ:正しい(剰余金資本組入れでは剰余金計上の証拠書面が必要)
・ウ:誤り(減資無効判決確定時の登記は裁判所書記官による「嘱託」)
・エ:誤り(定時総会普通決議の欠損減資では欠損存在証明書面が必要)
・オ:正しい(特例有限会社も準備金の資本組入れおよび登記申請が可能)
正しい記述は イ と オ なので、正解は 4 となります。
💡 本問のスピード解法テクニック
- 基本論点である ア(0円減資も可能⇒アはバツ) を判断すると、1(アエ)と 2(アオ)が消去されます。
- 次に ウ(無効判決確定時は嘱託登記⇒申請とするウはバツ) を見抜きます。これにより 3(イウ)と 5(ウエ)が消去されます。
- 残った 4(イ オ) が正解として確実に導き出せます!
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