【令和7年度 司法書士試験】午前の部 第10問:民法「所有者不明土地管理命令・管理不全土地管理命令」の完全解説

2026年9月20日日曜日

令和7年度【民法】

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【令和7年度 司法書士試験】午前の部 第10問:民法「所有者不明土地管理命令・管理不全土地管理命令」の完全解説

午前の部・第10問(民法)の解説です!

今回のテーマは、令和5年(2023年)4月1日施行の民法改正によって新設された「所有者不明土地管理命令(民法264条の2以下)」および「管理不全土地管理命令(民法264条の8以下)」の比較・解法です。

近年・将来の司法書士試験において極めて高い出題頻度が予想される超重要論点であり、両制度の「類似点」と「決定的な相違点」を正確に比較把握しているかが問われています。

本問は「正しいものの組合せ」を問う問題です。各肢の○×判定を対比させながら確実に行いましょう。

それでは、解説に入ります!

■ 問題文

所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、選択肢のうち、どれか。

土地が数人の共有に属する場合には、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれについても、当該土地の共有持分を対象として発することができる。

所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれについても、その効力は、管理命令の対象とされた土地の上にある当該土地の所有者が所有する動産にも及ぶ。

管理命令の対象とされた土地に関する訴えについては、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれかが発せられた場合でも、その命令において選任された管理人を原告又は被告としなければならない。

裁判所が管理命令の対象とされた土地の処分について許可をするには、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれかが発せられた場合でも、当該土地の所有者の同意を要しない。

所有者不明土地管理人と管理不全土地管理人のいずれについても、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
【選択肢】

1:ア ウ
2:ア エ
3:イ エ
4:イ オ
5:ウ オ

■ ア:共有持分に対する管理命令の対象の有無

【記述ア】 土地が数人の共有に属する場合には、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれについても、当該土地の共有持分を対象として発することができる。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

所有者不明土地管理命令は、共有不動産の特定の共有者が不明である場合に、その「不明共有者の共有持分」を対象として発することができます(民法264条の2第1項・第2項)。

これに対し、管理不全土地管理命令は、管理が不適切で他人に侵害や危険を及ぼしている「土地そのものの物理的状況」に対処する制度です。そのため、特定の「共有持分のみ」を対象として発することはできず、常に土地全体を対象とします(民法264条の8第1項参照)。

したがって、管理不全土地管理命令については共有持分を対象とすることができないため、本記述は誤り(×)です。

📌 暗記のポイント: 不明土地管理命令は「持分のみ」の管理命令OK!管理不全土地管理命令は「持分のみ」の管理命令NG!

■ イ:対象土地上にある所有者動産への効力

【記述イ】 所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれについても、その効力は、管理命令の対象とされた土地の上にある当該土地の所有者が所有する動産にも及ぶ。

【結論:正しい(マル)】

【解説】

所有者不明土地管理命令(民法264条の2第3項)および管理不全土地管理命令(民法264条の8第3項)のいずれの規定においても、管理命令の効力は「管理命令の対象とされた土地の上にある当該土地の所有者(共有持分)が所有する動産」に及ぶと明確に定められています(放置車両や不法投棄物の処分・管理をスムーズに行うため)。

したがって、両制度において動産に効力が及ぶとする本記述は正しい(〇)です。

📌 暗記のポイント: 放置自動車や放置ゴミ等の処理のため、どちらの管理命令の効力も「土地上の所有者の動産」に及ぶ!

■ ウ:裁判における当事者適格(原告・被告)

【記述ウ】 管理命令の対象とされた土地に関する訴えについては、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれかが発せられた場合でも、その命令において選任された管理人を原告又は被告としなければならない。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

所有者不明土地管理人は、所有者が不明で管理権限が排的に管理人に専属するため、管理対象土地に関する訴訟では管理人が当事者(原告・被告)となります(民法264条の3第4項)。

一方、管理不全土地管理人は、所有者が判明しており管理人の管理権限が排他的ではない(所有者本人も管理処分権を完全に失うわけではない)ため、訴訟において必ずしも管理人が原告・被告になるわけではなく、管理人を訴訟当事者とする独自の準用規定が置かれていません。

したがって、両者いずれも管理人を原告・被告としなければならないとする本記述は誤り(×)です。
📌 暗記のポイント: 不明管理人は訴訟当事者となる(排他権限あり)が、管理不全管理人は訴訟当事者規定がない!

■ エ:裁判所の処分許可と所有者の同意

【記述エ】 裁判所が管理命令の対象とされた土地の処分について許可をするには、所有者不明土地管理命令と管理不全土地管理命令のいずれかが発せられた場合でも、当該土地の所有者の同意を要しない。

【結論:誤り(バツ)】

【解説】

所有者不明土地管理人が売却等の処分行為をする場合、所有者が不明であるため裁判所の許可を得ればよく、所有者の同意は不要です(民法264条の3第2項)。

しかし、管理不全土地管理人が管理対象土地を処分する(売買等)場合には、裁判所の許可に加えて「所有者の同意」を得なければなりません(民法264条の9第2項)。所有者が判明している以上、本人の意向を無視した勝手な売却処分を防止するためです。

したがって、管理不全土地管理命令の場合でも所有者の同意を要しないとする本記述は誤り(×)です。
📌 暗記のポイント: 不明土地の処分:裁判所の許可のみでOK! 管理不全土地の処分:裁判所の許可+「所有者の同意」が必要!

■ オ:管理人の辞任と裁判所の許可

【記述オ】 所有者不明土地管理人と管理不全土地管理人のいずれについても、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

【結論:正しい(マル)】

【解説】

所有者不明土地管理人(民法264条の7第1項)および管理不全土地管理人(民法264条の13において準用)の双方について、正当な理由があるときは、裁判所の許可を得て辞任することができると規定されています。

公的な機関(裁判所)から選任される各種管理職務と同様、任意辞任はできず「正当な事由+裁判所の許可」を共通の要件としているため、本記述は正しい(〇)です。

📌 暗記のポイント: 不明管理人・管理不全管理人の辞任はどちらも「正当な事由+裁判所の許可」が必要!

■ まとめ

🏁 正解の組み合わせ

本問は「正しいものの組合せ」を求めています。

・ア:誤り(管理不全土地管理命令は持分のみを対象にできない)
・イ:正しい(両者とも土地上の動産に効力が及ぶ)
・ウ:誤り(管理不全土地管理人は訴訟当事者規定がない)
・エ:誤り(管理不全土地管理人の処分は所有者の同意が必要)
・オ:正しい(両者とも正当事由+裁判所の許可で辞任可能)

正しい記述は なので、正解は 4(イ オ) となります。

💡 横断整理表:所有者不明土地 vs 管理不全土地

論点 所有者不明土地管理命令 管理不全土地管理命令
共有持分への命令 可能(○) 不可(×)
動産への効力 及ぶ(○) 及ぶ(○)
訴訟当事者性 管理人が当事者(○) 規定なし(×)
処分の要件 裁判所の許可のみ 裁判所の許可 + 所有者の同意
管理人の辞任 正当事由 + 裁判所の許可 正当事由 + 裁判所の許可


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