【令和7年度 司法書士試験】午前の部 第13問:民法「権利質」の完全解説
午前の部・第13问(民法)の解説です!
本問のテーマは「権利質(債権質・その他の財産権を目的とする質権)」に関する総合問題です。
権利質の目的物となり得る権利の範囲(地上権・永小作権・将来債権)、質権者の取立権の限界限度、数個の質権が競合した場合の優先順位、質権設定者による相殺制限など、重要条文および判例知識が問われています。
それでは、各肢の論点を順番に確認していきましょう!
■ 問題文
権利質に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、選択肢のうち、どれか。
ア 地上権及び永小作権も、質権の目的とすることができる。
イ 質権者は、被担保債権である金銭債権及び質権の目的である金銭債権の弁済期がいずれも到来したときは、被担保債権の額にかかわらず、質権の目的である金銭債権の全額を取り立てることができる。
ウ 同一の債権について数個の質権が設定された場合には、その質権の順位は、設定の前後による。エ 質権設定者は、被担保債権の弁済期の到来前であっても、質権の目的である債権を自働債権として相殺をすることはできない。
オ 現に発生していない債権も、質権の目的とすることができる。
【選択肢】
1:ア ウ
2:ア オ
3:イ ウ
4:イ エ
5:エ オ
■ ア:地上権および永小作権を目的とする質権
【記述ア】 地上権及び永小作権も、質権の目的とすることができる。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
民法362条1項は「質権は、財産権をその目的とすることができる」と定めています。
譲渡性のある財産権であれば権利質の目的とすることができ、地上権や永小作権といった用益物権も質権の目的とすることができます(なお、不動産質権とは異なり、権利質として扱われます)。
したがって、地上権および永小作権を質権の目的とすることができるとする本記述は正しい(〇)です。
■ イ:債権質における質権者の取立権の限界限度
【記述イ】 質権者は、被担保債権である金銭債権及び質権の目的である金銭債権の弁済期がいずれも到来したときは、被担保債権の額にかかわらず、質権の目的である金銭債権の全額を取り立てることができる。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
民法366条2項は「金銭債権を目的とする質権において、被担保債権および目的債権の弁済期がともに到来したときは、質権者は自己の『被担保債権額に相当する部分』に限り取り立てることができる」と規定しています。
質権者は被担保債権の範囲を超えて取り立てることはできず、被担保債権の額を超える部分については取り立てる権利がありません。
したがって、「被担保債権の額にかかわらず全額を取り立てることができる」とする本記述は誤り(×)です。
■ ウ:同一債権に対する数個の質権の優先順位
【記述ウ】 同一の債権について数個の質権が設定された場合には、その質権の順位は、設定の前後による。
【結論:誤り(バツ)】
【解説】
指図債権や無記名債権等の有価証券以外の一般的な指名債権(指名債権質)について、同一の債権上に複数の質権が競合した場合、その優劣・順位は単なる「設定契約の前後」ではなく、第三者対抗要件(確定日付ある通知または承諾)の具備の有無およびその「到達の先後(確定日付の先後ではなく到達日時)」により決まります。
対抗要件の到達日時により順位が決まるため、単に「設定の前後による」とする本記述は誤り(×)です。
■ エ:質権設定者による目的債権の相殺制限
【記述エ】 質権設定者は、被担保債権の弁済期の到来前であっても、質権の目的である債権を自働債権として相殺をすることはできない。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
民法364条の趣旨・判例によれば、債権質が設定された場合、質権設定者(債権者)は質権者の利益を害する行為(目的債権の免除・譲渡・相殺など)を行うことはできません。
質権設定者が目的債権を自働債権として相殺してしまうと質権の目的たる債権が消滅してしまい、質権者の担保価値を一方的に侵害することになるため、被担保債権の弁済期前か後かを問わず相殺することは認められません。
したがって、自働債権として相殺することができないとする本記述は正しい(〇)です。
■ オ:将来債権を目的とする質権
【記述オ】 現に発生していない債権も、質権の目的とすることができる。
【結論:正しい(マル)】
【解説】
判例・通説および債権譲渡の規定の準用(民法366条等)により、発生原因や額などが特定されている限り、現に発生していない「将来債権」であっても質権の目的(将来債権質)とすることが認められています(最判平11.1.29参照)。
したがって、現に発生していない債権も質権の目的とすることができるとする本記述は正しい(〇)です。
■ まとめ
🏁 正解の組み合わせ
本問は「誤っているものの組合せ」を求めています。
・ア:正しい(地上権・永小作権も目的可)
・イ:誤り(被担保債権の額の限度でのみ取立可)
・ウ:誤り(順位は設定順ではなく対抗要件到達順)
・エ:正しい(設定者は自働債権として相殺不可)
・オ:正しい(将来債権も質権の目的可)
誤っている記述は イ と ウ なので、正解は 3(イ ウ) となります。
### 💡 司法書士試験の過去問を解いていて、こんな悩みはありませんか?
* 「解説を読めば理解できるけど、知識が定着せず本番で思い出せない…」
* 「分厚いテキストと過去問集を持ち歩くのが重くて、隙間時間が活かせていない」
* 「仕事や家事と両立しながら、最短ルートで合格レベルに達したい」
知識の要点を押さえた隙間時間の反復学習を継続することで、難解な民法判例・条文も確実に得点源に変えることができます。
忙しい社会人でも無理なく続けられる、効率的な**「スタディングを活用した司法書士試験の効率学習法」**を以下の記事で詳しく公開しています!
↓
👉 【実録】働きながら司法書士試験に合格!独学の壁を破った「スタディング」活用・効率学習法はこちら


0 件のコメント:
コメントを投稿